ナルコレプシーによる強い眠気と突然の脱力に苦しんだ中学生

ナルコレプシーによる強い眠気と突然の脱力に苦しんだ中学生

学校に行けなくなった娘が、再び笑顔を取り戻しました!

10代女性
来院に至った経緯
小学生まではとても活発で元気な女の子だった。中学に進学してスマホを持つようになってからは、友達とのやり取りや動画視聴に夢中になり、夜更かしすることが増えていった。

その影響で睡眠不足の日が多くなり、朝はなかなか起きられなかったが、母親が無理やり起こして学校へ送り出すこともしばしばあった。

中学2年生のときにインフルエンザにかかり、40度を超える高熱が出た。1週間ほどで回復したものの、それを境に手に持っていたスマホを頻繁に落とすようになった。最初は不注意かと思っていたが、次第に右腕に力が入らないと訴えるようになった。

そこから症状は急激に悪化した。日中に上体を支えられないほどの強い眠気に襲われ、授業中に居眠りを繰り返すようになった。夜は逆に眠れず、布団に入っても寝つくまでに数時間かかり、酷いときには朝まで眠れないこともあった。

ようやく眠れたとしても、夜中に何度も目を覚ましてしまうこともあり、朝はまるで金縛りにでもあったかのように体が動かず布団から起き上がれず、学校に通うことが困難になった。

体調が比較的良かったある日、学校で友達と会話している最中に急に全身に力が入らなくなり、そのまま倒れてしまった。その日は保健室で休み、帰りは母親に迎えに来てもらった。

翌日、すぐに総合病院を受診し、脳神経内科で精密検査を受けたが脳には異常は見つからなかった。その後、紹介を受けて睡眠外来にて1泊2日の入院検査を行った結果、「ナルコレプシー1型」と診断された。

医師からは「生活習慣の乱れから来る場合もあるので、生活リズムを整えてください」と言われ、日中の眠気を抑えるための覚醒促進薬を処方された。また「怒ったり笑ったり、感情を高ぶらせることは避けるように」とも指導された。

しかし、そもそも生活リズムを整えることができないから困っているのであって、当時中学2年生の娘に「怒るな、笑うな」と言うことがどれほど酷なことかと思うと、母親として不信感しか残らなかった。

ナルコレプシー1型という聞きなれない病名にどうしたらいいのかわからず、同い年の娘さんがいるパート先の同僚に相談したところ、「自律神経の問題ではないか」と言われ、自律神経に強いと評判の針治療を受けることになった。

施術を受けた初日の夜こそ少し眠れたようだったが、翌日から強い吐き気やめまいに襲われた。針の先生からは「好転反応です」と説明され、その後も合計5回通った。しかし、毎回施術の翌日から1週間ほど強い吐き気やめまいが出てしまい、娘が強い拒否感を示したため、通院を断念することになった。

針治療を受けたあたりからは完全に学校へ行けなくなってしまい、「このままでは来年の高校受験にも影響が出てしまう。娘の人生はどうなってしまうのか」と強い不安に襲われた。

母親自身も娘の体調が心配で日中のパートにも出られなくなり、あちこちの病院へ連れて行ったが、どこに行っても「生活習慣を整えるしかない」と言われるだけで、状況は改善しなかった。

不思議なことに、友達が学校の資料を届けに自宅を訪ねてくれたときには談笑できていて、休日に一日中友達が遊びに来ていると眠気が来ることもなかった。母親は「なぜ学校だと眠くなってしまうのに、自宅で友達といると普通でいられるのか」と、余計に病院の説明に納得できなかった。

発症から3か月ほど経った頃、ようやく体調が回復して学校に行けるようになったが、復帰して3日目には日中の強い眠気に襲われて保健室で一日を過ごすことになった。それ以降も登校できるのは週に1〜2日程度で、安定して学校生活を送ることはできなかった。

そんなとき、ママ友から「ここの先生すごいから一度相談してみたら?」とカイロプラクティックの先生を紹介された。

カイロプラクティックと聞いて最初は半信半疑であったが、Google口コミを見てみると、「同じ中学2年生の子が朝起きられなくなり、昼夜逆転していた症状が改善された」という投稿を目にした。

紹介と口コミが後押しとなり、「ここなら娘も同じように変われるかもしれない」と希望を感じ、当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    第一頸椎左横突起にスポンジ状の浮腫

  • 02

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

  • 03

    正中仙骨稜に強い浮腫感

経過と内容
初診時の状態では、第一頸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左横突起と正中仙骨稜に強い浮腫が確認され、頚部胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は、それほど慢性的なところは確認されなかったが重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階も、それほど慢性的なところは確認されなかったが、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

初期集中期の段階では週1回のケアから開始した。

4週目(3回目のアジャストメント)には、日中に突然強い眠気に襲われて机に突っ伏すようなことが減り、短時間であれば授業に集中できる時間が出てきた。夜の寝つきもわずかに早まり、朝の起き上がりにかかる時間が少し短縮された。

8週目(7回目のアジャストメント)には、夜中に何度も目が覚めてしまう状態が改善し、連続して眠れる時間が延びてきた。朝の倦怠感が和らぎ、午前中のうちから学校で勉強に取り組める日が出てきた。また、友人との会話中に突然脱力して倒れ込むような発作も一切見られなくなった。

12週目(11回目のアジャストメント)には、日中の強い眠気が大幅に減り、学校へ週3回ほど登校できるようになった。授業中の居眠りもほとんどなくなり、母親からも「表情が明るくなった」と言われるようになった。夜の寝つきも改善し、朝に金縛りのように体が動かないという訴えも減っていった。

20週目(18回目のアジャストメント)には、昼夜の生活リズムが安定し、学校生活をほぼ通常通り送れるようになった。受験勉強にも集中できる時間が確保でき、日中に強い眠気に襲われることは一切出ないほど体調が安定した。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、再発防止と体調の維持のために、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回のナルコレプシー1型は、自律神経系と中枢神経系の調節異常が関与していたと考えられる。ナルコレプシーでは脳内の覚醒機能が不安定になり、日中の過剰な眠気や情動による脱力(カタプレキシー)、睡眠麻痺といった症状が出現することが知られている。

特に思春期の子どもに発症しやすい背景には、成長期特有のホルモン変化や生活リズムの乱れが重なり、自律神経の調節に負担が掛かることがある。

今回のケースでも、中学進学後の夜更かし習慣や睡眠不足、インフルエンザ罹患後の体調変化が引き金となり、神経系の調整が崩れていた可能性が高い。

検査では骨盤部と上部頸椎に顕著な反応が確認されたが、これらは副交感神経支配の領域と深く関係している。副交感神経の働きが抑制されると交感神経が過剰に働き、心拍数の変動や血流調節の不安定さを引き起こし、睡眠と覚醒の切り替えに支障をきたしてしまう。実際に患者は、日中の強い眠気と夜間の不眠が併存する典型的な症状を示していた。

特に上部頸椎は、単純に「首の骨」の乱れとして片づけられる部位ではない。第一頸椎の問題なのか、後頭骨の問題なのか。どのような変位をしていて、どの神経系に負担を掛けているのか、それぞれw特定すること検査が極めて重要である。

上部頸椎は脳幹とも隣接しており、この領域へのストレスは全身の神経機能に広範な影響を及ぼすため、精密な検査なくして適切なアプローチは不可能である。

また、上部頸椎の機能低下は迷走神経に影響を及ぼし、消化・循環・免疫・睡眠といった全身の生命維持機能に波及する。迷走神経の不安定さはナルコレプシーの症状とも関連が深く、今回の「起き上がれない」「突然脱力して倒れる」といった症状とも整合している。

さらに、思春期特有の心理的ストレスや受験期のプレッシャーも交感神経過剰を助長し、自律神経の乱れを慢性化させる要因になっていた可能性がある。このように身体的要因と心理的要因が複雑に絡み合って症状を悪化させていたと推測される。

アジャストメントによってサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、上部頸椎と骨盤部の機能が回復し、自律神経のバランスが整ったことで自然治癒力を100%働く状態になった。その結果、昼夜のリズムが安定し、強い眠気や脱力発作、不眠といった多彩な症状が改善に向かったと考えられる。

今回の症例は、ナルコレプシーのように「覚醒を維持する脳内物質を作り出す神経細胞の減少や機能低下」とされやすい症状であっても、実際には自律神経系の調整不全が大きく関与していることを示している。

どのような症状であったとしても、その症状に囚われるのではなく、神経系全体のバランスを根本から整えることが重要となる。改めて神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることが、根本改善への第一歩であることを確認できる症例であった。
ナルコレプシーによる強い眠気と突然の脱力に苦しんだ中学生
ナルコレプシーによる強い眠気と突然の脱力に苦しんだ中学生 ナルコレプシーによる強い眠気と突然の脱力に苦しんだ中学生 ナルコレプシーによる強い眠気と突然の脱力に苦しんだ中学生

ご予約・お問合せはお電話またはLINEから

お電話での予約
TEL:0466-21-9624
LINEでの予約
QRコードを読み取り、トーク画面から「予約希望」とご連絡ください。
前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

症例一覧へ戻る
pagetop