アトピー性皮膚炎・関節リウマチの疑いと診断された左手のしびれとこわばり

アトピー性皮膚炎・関節リウマチの疑いと診断された左手のしびれとこわばり

病院では原因不明と言われた症状が、薬に頼らず改善!

50代女性
来院に至った経緯
4か月前から、左手の薬指と小指にしびれを感じるようになった。さらに、手をグーパーすると全体的にこわばるような違和感もあり、「もしかすると脳の異常かもしれない」と不安になり、すぐに病院で精密検査を受けた。

MRIやCT検査を受けた結果、幸いにも脳には異常は見られなかった。しかし、しびれやこわばりの症状は改善せず、1か月経っても続いていたため、整形外科や他の診療科を次々と受診した。

整形外科では首のレントゲンを撮影したが、「椎間板がやや薄くなっているものの、加齢によるもので特に問題はない」と診断された。さらに、血液検査やエコー検査など、考えられるあらゆる検査を受けたが、原因は特定できなかった。

医師からは「関節リウマチの可能性も考えられる」と言われ、家族にリウマチの既往歴があるか尋ねられたが、思い当たる親族はいなかった。そのため、「しばらく様子を見ましょう」と言われ、具体的な治療には至らなかった。

手のしびれを感じ始めてから2ヶ月が経った頃、突然、全身にアトピー性皮膚炎が広がった。もともと肌が敏感で荒れやすい体質ではあったが、全身にアトピーが出たことは一度もなかったため、慌てて皮膚科を受診。

皮膚科では、ステロイド軟膏と飲み薬を処方された。薬を使用すると赤みやかゆみは一時的に治まったが、薬をやめるとすぐに再発し、夜になるとかゆみで眠れない日が続いた。「長期間の服用は避けたい」と思いながらも、夜のかゆみには耐えられず、結局、毎日のようにステロイドを塗る日々が続いていた。

また、社会人になって以来、長時間のデスクワークが続き、慢性的な腰痛や肩こりを感じていた。以前、整形外科を受診した際に「腰椎5番が分離しており、すべり症の状態になっている」と診断されたことがあり、腰の違和感は長年続いていた。

さらに、中学生の頃から30年以上にわたって全身の冷えや花粉症に悩まされていた。最近では、気づけば両肩がスムーズに上がらなくなり、動かしづらさを感じるようになっていた。

「昔から体は弱いほうだったが、ここにきて急激に体調が悪化している…」そう感じる中で、病院の検査では「異常なし」と診断されるばかり。「これが更年期なのか…」と半ば諦めかけていたところ、知人からカイロプラクティックを勧められた。

整体やマッサージを受けた経験はほとんどなく、不安もあったが、知人があまりにも熱心に勧めてくるため、一度試してみようと決意し、当院を訪れることになった。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    隆椎周辺に強い浮腫と熱感(炎症)

  • 02

    首から肩にかけての過緊張

  • 03

    背部全体の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、下部頸椎および下部胸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、下部頸椎および下部胸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また隆椎周辺と下部腰椎から正中仙骨稜にかけて強い浮腫が確認され、首から肩にかけてと背部全体は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD6レベルで重度の骨盤の傾きや激しい椎骨の変性が確認された。さらに、整形外科で指摘された通り、腰椎5番に分離すべり症が確認された。首の椎間板の段階は慢性的なD6レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっており、椎骨の変性が明らかだった。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、仕事の関係で週1回のケアから開始した。

4週目(4回目のアジャストメント)には、左手の薬指と小指に出ていたしびれが軽減し、代わりに左肩から左腕にかけての重だるさを感じるようになった。

9週目(8回目のアジャストメント)には、左手のしびれはほとんど感じなくなり、手のこわばりも解消。また、肩の緊張が和らぎ、肩こりも大幅に軽減。さらに、体全体が温かく感じられるようになり、血流が改善していることが実感できた。

19週目(12回目のアジャストメント)には、これまで薬を塗らなければ耐えられなかったアトピーの痒みが自然に治まり、全身に広がっていた赤みも徐々に引いてきた。さらに、両肩の可動域も改善し、高い場所の物もスムーズに取れるようになった。

32週目(15回目のアジャストメント)には、この頃には、アトピーの症状がほとんど目立たないレベルまで改善し、薬を完全に手放すことができた。さらに、ちょうど花粉の時期と重なったが、花粉症の症状が著しく軽減されていることに気づいた。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回のアトピー性皮膚炎の発症は、下部頸椎への負担による甲状腺機能の低下が引き金となり、全身の代謝が低下した結果、体内に蓄積された毒素を排出しようとする生理的反応だったと考えられる。

検査では、下部頸椎に加えて下部胸椎にも強い異常反応が見られた。下部胸椎は副腎と深く関係しており、副腎はアレルギー反応や免疫機能の調整に重要な役割を果たす。このため、甲状腺や副腎に繋がる神経が過剰なストレスを受けたことで、全身のホルモンバランスが乱れ、皮膚症状や免疫系の異常が引き起こされたと考えられる。

花粉症の発症メカニズムも、このホルモンバランスの乱れと密接に関係している。免疫システムが過剰に働くことで、花粉などの外的刺激に対して必要以上に反応し、目のかゆみや鼻水といった症状が引き起こされる。今回のケースでは、施術を進めることで花粉症の症状も軽減していることから、自律神経の調整が免疫機能にも大きな影響を与えることが示唆される。

また、左手のしびれやこわばりについても、下部頸椎から伸びる神経が関与していたと考えられる。神経の圧迫や機能障害が進行すると、痛み→しびれ→麻痺という順序で症状が悪化するが、回復の過程ではその逆の順序で改善していく。施術の進行に伴い、しびれが軽減し、代わりに腕の重だるさや筋肉痛のような感覚が現れたことは、まさに神経機能の回復プロセスをたどっていたことを示している。

肩こりや肩の可動域制限についても、骨格の不安定性が関与していた。特に、頸椎の支持力が低下すると、頭部の重さを筋肉で支えようとするため、首や肩周辺の筋緊張が増し、慢性的な肩こりへと繋がる。さらに、下部頸椎は肩に伸びる神経とも関連が深いため、可動域の制限が生じていたと考えられる。

全身の冷えについても、下部頸椎が関与する甲状腺の機能低下が影響していたと推察される。甲状腺は代謝を司る重要な器官であり、その機能が低下すると体温調節がうまくできず、低体温や冷え性を引き起こしやすくなる。加えて、アトピー性皮膚炎や関節リウマチの疑いがあったことからも、ホルモンバランスの乱れが全身に及んでいたことが考えられる。

また、長年続いていた腰痛は、整形外科で診断されていた分離すべり症によるものだった。分離すべり症のケースでは、腰椎そのものに直接アプローチするのではなく、仙骨を介して腰仙関節の調整を行うことが重要となる。このような状態に対して適切な施術を行うには、レントゲン評価を用いた正確な診断が不可欠となる。

今回の症例では、アトピー性皮膚炎、花粉症、関節リウマチの疑いといったホルモンバランスの異常に加え、肩こり、肩の可動域制限、腰痛といった筋骨格系の問題が同時に存在していた。これらの症状に対して、科学的かつ客観的な検査手法(レントゲン評価、体表温度検査など)を活用し、神経機能の異常を特定することが重要なポイントとなった。

アジャストメントにより、神経の流れを阻害していたサブラクセーション(神経機能の異常)が取り除かれたことで、ホルモンバランスの乱れが徐々に解消され、最終的には薬に頼ることなくアトピー性皮膚炎の改善につながったと考えられる。本症例は、神経の流れを正常化し、身体の情報を適切に脳へ伝達することの重要性を改めて確認できる貴重なケースである。
アトピー性皮膚炎・関節リウマチの疑いと診断された左手のしびれとこわばり
アトピー性皮膚炎・関節リウマチの疑いと診断された左手のしびれとこわばり アトピー性皮膚炎・関節リウマチの疑いと診断された左手のしびれとこわばり アトピー性皮膚炎・関節リウマチの疑いと診断された左手のしびれとこわばり
前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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