食道裂孔ヘルニアによる胸やけと胃の不快感

食道裂孔ヘルニアによる胸やけと胃の不快感

薬を手放せなかった胸のつかえと夜間の不快感が落ち着き、安心して眠れるようになりました!

50代男性
来院に至った経緯
数年前から、食後に胸の奥がムカムカする感覚や、喉の奥につかえるような違和感を感じることが増えていた。特に夜になると症状が強く、横になると胃酸が上がってくるような不快感があり、眠りが浅くなる日が続いていた。最初は「食べ過ぎかな」「年齢のせいだろう」とあまり気にしていなかったが、次第に胸やけや胃の重さが日常的になり、不安を感じるようになった。

仕事柄、取引先との会食が多く、夕食の時間が遅くなることも少なくなかった。アルコールを伴う席も多く、帰宅後すぐに横になれない日が続いていた。翌朝まで胃の不快感が残ることもあり、「このままでは体に良くない」と感じつつも、仕事を理由に生活を大きく変えることは難しかった。

症状が気になり消化器内科を受診したところ、検査の結果「食道裂孔ヘルニア」と診断された。医師からは「命に関わるものではないが、うまく付き合っていく必要がある」と説明され、胃酸を抑える薬を処方された。薬を飲むと一時的に楽にはなるものの、飲み忘れたり、会食が続いたりすると症状はすぐに戻ってきた。

夜中に胸やけで目が覚めることもあり、次第に「また今日も眠れないのではないか」という不安が先に立つようになっていた。食事の内容や量を気にするようになり、好きだった外食や会食の席でも素直に楽しめなくなっていた。「この先もずっと薬に頼り続けるしかないのか」と考えると、気持ちの面でも負担が大きくなっていた。

そんな折、身近な知人との会話の中で、「自分も前は似たような不調が続いていたけれど、前田カイロに通うようになってから体調が全然違う」と勧められた。詳しい理屈を聞いたわけではなかったが、「とにかく楽になる」「通っているうちに体が軽くなってくる」という言葉が強く印象に残った。

薬を飲み続けても根本的な安心感が得られず、このままでは何も変わらないのではないかという思いもあったため、「一度行ってみるだけでもいいかもしれない」と感じるようになった。実際に通っている人の実感のこもった言葉が後押しとなり、当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    右仙骨翼にスポンジ状の浮腫

  • 03

    第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節に明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右仙骨翼と第一頸椎右横突起にスポンジ状の強い浮腫が確認され、腰部起立筋と頸部胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階も6段階中4段階の慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアが必要な状態であったが、平日は昼間は仕事、夜は会食続きで時間の確保が難しかったため、無理のない範囲で週末の週1回のケアから開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、食後の胸のつかえ感がわずかに軽くなっていることに気づいた。これまでは食後しばらくすると必ず感じていた不快感が、「今日は少し楽かもしれない」と感じる日が出てきた。夜に横になった際のムカムカ感も、以前ほど強くは出ていなかった。

4週目(4回目のアジャストメント)には、会食後の症状に変化がみられた。遅い時間に食事をした日でも、胸やけが出る頻度が減り、胃の重さが翌朝まで残ることが少なくなっていた。薬を飲まなくても眠れる日が増え、「夜中に胸の違和感で目が覚めることが減ってきた」と本人から報告があった。

8週目(8回目のアジャストメント)には、症状の安定感が出てきていた。会食が続いた週でも強い不快感が出ることは少なく、食後に感じていた喉の奥の違和感も気にならない時間が増えていた。以前は食事の内容や時間を過度に気にしていたが、その不安が和らぎ、外食の席でも落ち着いて過ごせるようになっていた。

12週目(12回目のアジャストメント)には、胸やけや胃酸が上がってくる感覚はほとんど感じなくなっていた。横になった際の不快感も消失し、睡眠の質が安定していた。仕事や会食のスケジュール自体は変わっていないにもかかわらず、体調が崩れにくくなっていることを本人も実感していた。

現在は、食道裂孔ヘルニアによる胸やけや不快感はほぼ落ち着き、日常生活や仕事に支障なく過ごせている。再発防止と今後の体調管理のため、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを継続している。

考察
今回の食道裂孔ヘルニアに伴う胸やけや胃の不快感は、食道や胃そのものの構造的問題だけでは説明が難しく、自律神経機能の長期的な乱れが背景に存在していたと考えられる。

胃酸の分泌や食道・胃の運動は、自律神経によって精密にコントロールされている。副交感神経が適切に働くことで、消化に必要な胃酸分泌と粘膜の防御機構が保たれ、同時に食道括約筋や消化管運動も協調して機能する。しかし、自律神経の切り替えがうまく行われなくなると、胃酸分泌の抑制と過剰分泌が不安定に繰り返される状態が生じる。

交感神経が過剰に優位な状態が続くと、胃や食道の血流は低下し、粘膜の防御力が弱くなる。一方で、副交感神経の反動的な働きによって、タイミングを欠いた胃酸分泌が起こりやすくなる。このような分泌と防御のアンバランスは、食道への刺激を慢性的に増大させ、胸やけや不快感といった症状を引き起こしやすい。

本症例では、検査により骨盤部および上部頸椎に明確な反応が確認されていた。これらはいずれも副交感神経の働きと深く関係する領域であり、この部位に継続的な神経への負担が存在していたことで、副交感神経が十分に機能しにくい状態が長期間続いていたと推測される。その結果として交感神経が相対的に優位となり、自律神経全体の調整機構が不安定な状態に陥っていたと考えられる。

このような神経機能の乱れが持続すると、胃や食道は本来のリズムを維持することができず、胃酸分泌や消化管運動の協調性が低下する。食道裂孔ヘルニアという構造的背景が存在していたとしても、症状の強さや慢性化に大きく影響していたのは、神経による調整能力の低下であった可能性が高い。

アジャストメントによって骨盤部および上部頸椎への神経負担が段階的に軽減されることで、副交感神経が働きやすい状態が回復していった。その結果、自律神経の切り替えが安定し、胃酸分泌や消化管運動が徐々に本来のリズムを取り戻していったと考えられる。

症状が一時的に消失するのではなく、段階的に軽減していった経過は、神経機能が回復していく順序を反映したものであり、内臓機能が神経支配の影響を強く受けていることを示している。

本症例は、骨盤部および上部頸椎に存在していたサブラクセーション(根本原因)による神経機能の低下が、食道および胃の調整能力に影響を及ぼし、症状を慢性化させていた可能性を示す臨床例である。神経機能に着目したカイロプラクティックケアによって、内臓症状に対しても改善が得られることを示した症例といえる。
食道裂孔ヘルニアによる胸やけと胃の不快感
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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