転びやすさと階段の恐怖を引き起こした腰痛と膝の水腫

転びやすさと階段の恐怖を引き起こした腰痛と膝の水腫

膝の痛みがなくなり、転ぶ不安も消えた!

40代女性
来院に至った経緯
仕事は15年間、事務作業を続けており、日中はほとんど座りっぱなしの状態だが、時には重たい荷物を持ち歩くこともあり、体への負担は大きかった。

その影響か、10年以上前から腰痛を感じるようになり、特に激しい痛みではなかったため放置していたが、次第に悪化し、平坦な道でもつまずくことが増えたり、足首を捻挫しやすくなったりするようになった。

階段を下るときもバランスを崩しそうな怖さを感じることが多くなり、無意識に手すりを掴むようになった。さらに、歩行時の違和感が増すにつれ、膝を動かす際の引っかかり感や、突然の力の入りにくさも気になるようになった。

1年前からは両膝にも痛みが出るようになり、病院では「膝に水が溜まっている」と診断された。水を抜く処置を受けたものの、痛みはなかなか改善せず、むしろ慢性的な腫れや違和感が続いていた。

また、この頃から夜になると両脚のふくらはぎが頻繁につるようになり、痛みで目が覚めることが増え、睡眠の質にも影響が出ていた。仕事が忙しい日は特にふくらはぎが張りやすく、寝る前にストレッチをしても効果は一時的で、根本的な解決には至らなかった。

高校生の頃から生理不順があり、周期が安定しない状態が続いていた。20代半ばで出産を経験してからはさらに悪化し、3か月に1回しか生理が来なくなった。一度生理が来ると2週間以上出血が続いたり、逆に1日で終わったりと極端な変化を繰り返し、30歳を過ぎた頃には子宮筋腫と子宮内膜症と診断された。

それ以降、生理はまったく来なくなり、無月経の状態が続いていた。婦人科ではホルモン治療を勧められたが、副作用の不安があり、結局治療を受けることなく様子を見続けていた。

また、子供の頃から手足の冷えを感じており、運動をしても温まらず、大人になってからも夏場でも靴下を履かないと冷えてしまうほどだった。冬場は手袋をしても指先の冷たさが気になり、血行が悪いのではないかと心配するようになった。冷え性が影響しているのか、肩こりや首のこわばりを感じることも増え、疲労が抜けにくくなっていた。

長年接骨院やマッサージに通っていたが、一時的に体が軽くなるものの、根本的な改善にはつながらず、通い続けなければならないことに疑問を感じていた。何か他に方法はないかと探していたところ、知人の紹介でカイロプラクティックを勧められ、「試してみる価値があるかもしれない」と思い、来院を決意した。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙骨翼にスポンジ状の浮腫

  • 02

    右仙腸関節の可動域制限

  • 03

    第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右仙骨翼と第一頸椎右横突起に強い浮腫が確認され、腰部起立筋と頸部胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD6レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認され、激しい椎骨の変性が認められた。首の椎間板はそれほど慢性的な段階は確認されなかったが、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では、本来は週3回のケアが理想的だったが、仕事の都合で週1回のペースから施術を開始した。しかし、仕事の多忙さから、予定通りに来院できない週も多く、ケアの間隔が開いてしまうことがあった。

【2週目】(2回目のアジャストメント)
施術開始前は腫れが強かった膝の状態が、この時点で明らかに改善し、パンパンに膨れ上がっていた腫れが軽減していた。本人も1回目のアジャストメントを受けた直後に変化を感じ、帰宅時に階段を下りる際の怖さがほとんどなくなっていたと話していた。

【5週目】(4回目のアジャストメント)
膝の腫れは完全に引き、痛みもほとんど感じなくなった。この頃から、慢性的に冷え切っていた手足にも血流が戻り始め、本人も「脚が温かい」と実感できるようになった。以前は特に冬場、靴下を履いても指先が冷たいままだったが、この時点では冷えをあまり感じなくなっていた。

【8週目】(6回目のアジャストメント)
仙骨を中心に広がっていた浮腫感も減少し、浮腫が局所的に(右仙骨翼)集中するようになった。また、驚くことに、10年以上止まっていた生理が再開した。本人自身もこれには非常に驚き、「もう一生来ないものだと思っていた」と話していた。この時点で体の内側からの変化を強く実感し始めていた。

【14週目】(9回目のアジャストメント)
頸部の右胸鎖乳突筋や腰部起立筋の過緊張がほぼ解消され、以前のような硬さが感じられなくなった。また、これまで頻繁に転倒したり足を捻ったりすることがあったが、「そういえば最近はまったく転んでいない」と本人が話すほど、無意識のうちにバランスが改善していた。以前は何気ない動作でも不安定さを感じていたが、今ではその感覚すら忘れるほどだった。

現在は、ほとんどの症状が安定し、日常生活にも支障がなくなったが、今後も体調を維持するために、定期的なカイロプラクティックケアを継続している。

考察
今回の腰痛の主な原因は、骨盤の歪みによって腰部に過剰な負荷がかかっていたことと考えられる。骨盤は体の土台として機能するため、そのバランスが崩れると腰椎や周囲の筋肉にストレスがかかり、慢性的な腰痛へとつながる。

また、膝痛や歩行時のつまずき、足首をよく捻る、階段の下りが怖いといった症状も、骨盤の可動制限が影響していた可能性が高い。骨盤から下肢へ伸びる神経の機能異常が生じると、下肢の関節や筋肉の動きにも制限がかかり、姿勢や歩行の安定性が損なわれていたと考えられる。

さらに、末端冷え性や生理不順といった自律神経の問題も併発していた。末端冷え性は交感神経の過剰な活動によって引き起こされる典型的な症状の一つである。交感神経が優位な状態になると、末梢血管が収縮し、体の中心部分に血液を集める作用が働く。

その結果、手足の血流が滞り、慢性的な冷えが続いていたと考えられる。このメカニズムが長期間にわたり続いたことで、どれほど運動をしても手足が温まらないという状態になっていたのだろう。

生理不順については、脳と卵巣をつなぐ神経の流れが阻害されたことが影響していたと考えられる。生理周期は、卵巣から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンだけでなく、脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)など、さまざまなホルモンの相互作用によって調整されている。

これらのホルモンの分泌は、神経の働きと密接に関係しており、神経の流れが阻害されることでホルモンバランスが乱れ、生理不順や無月経の原因となっていたと推測される。

ホルモンの分泌は、多すぎても少なすぎても身体に悪影響を与えるが、神経の流れを整え、脳と卵巣の情報伝達が正常に行われるようになったことで、生理不順が改善し、高校生の頃から続いていた周期の乱れや、30歳から10年以上続いていた無月経が解消されたと考えられる。

これは、単にホルモン療法や薬による対症療法ではなく、身体の根本的なバランスが整ったことで起こった変化である点に注目すべきである。

今回の症例では、腰部椎間板の段階がD5〜D6レベルと慢性的な変性を示していたため、通常であれば週3回のケアから開始したかったが、仕事の多忙により施術の間隔が2週間に1回程度となってしまった。

それでも、継続的なケアによって症状の改善が見られたことから、慢性的な状態であっても、神経の流れを正常化し、脳と身体の情報伝達をスムーズにすることが、いかに重要であるかが分かる症例である。
転びやすさと階段の恐怖を引き起こした腰痛と膝の水腫
転びやすさと階段の恐怖を引き起こした腰痛と膝の水腫 転びやすさと階段の恐怖を引き起こした腰痛と膝の水腫 転びやすさと階段の恐怖を引き起こした腰痛と膝の水腫
前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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