薬や安静でも改善しなかった圧迫骨折による背中の痛み

薬や安静でも改善しなかった圧迫骨折による背中の痛み

寝返りも辛かった背中の痛みが和らぎ、再びゴルフを楽しめるようになりました!

70代女性
来院に至った経緯
若い頃から活発で、特にゴルフは人生の大きな楽しみであった。夫婦で旅行を兼ねてゴルフ場を訪れたり、地元の友人たちと月に数回はコースに出たりと、趣味を通じて心身の健康を維持してきた。

年齢を重ねても体を動かすことに自信があり、「まだまだ元気でいたい」という思いから、食事や生活習慣にも気を配り、健康第一の生活を送っていた。

ところが、ある日の日常の中で突然背中に鋭い痛みを覚えた。重い物を持ったわけでもなく、特別なきっかけもなかったが、背中の痛みは時間が経っても引くことなく、むしろ動くたびに強まっていくように感じられた。

最初は「年齢のせいで少し無理が効かなくなっただけだろう」と思い、自宅で安静を心がけていたが、数日経っても症状は改善しなかった。

やがて歩く、立ち上がる、寝返りを打つといった日常の何気ない動作にまで痛みが伴うようになり、「このままでは日常生活さえ送れなくなるのではないか」と不安が募っていった。

整形外科を受診すると「圧迫骨折」と診断され、コルセットを着用して安静に過ごすよう指導を受けた。痛み止めの薬の処方もあったが、痛みは完全に治まらず、思うような改善は見られなかった。

安静にすればするほど筋力は衰え、体力も落ちていく。自分でもそれを実感していながら、どうすればよいのかわからず、「このまま寝たきりになってしまうのではないか」という恐怖が常に頭をよぎるようになった。

大好きだったゴルフを全く楽しめなくなり、仲間との交流も減ってしまったことで、精神的な落ち込みも大きくなっていった。

「この先ずっと背中の痛みと付き合わなければならないのだろうか」「自分の生活はもう取り戻せないのだろうか」そんな悲観的な気持ちに支配され、日常の楽しみや前向きさを失いつつあった。

そんな折、同年代の友人と久しぶりに会った際に、「私も以前、背中の痛みで悩んでいたけれど、ここに通って本当に楽になった」と当院を紹介された。

信頼できる友人の体験談であったこともあり、「もう一度ゴルフをしたい」「自分らしい生活を取り戻したい」という強い思いが込み上げ、最後の望みをかける気持ちで当院を訪れる決心をした。


【神奈川県鎌倉市から来院】
初診の状態
  • 01

    左仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    左上後腸骨棘上端内縁の強い浮腫感

  • 03

    腰部から背部にかけて脊柱起立筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、左の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と下部胸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また左上後腸骨棘上端内縁には強い浮腫が確認され、腰部から背部にかけて脊柱起立筋が全体的に過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中6段階の慢性的なD6レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

レントゲン評価では6段階中最も慢性的なD6レベルであり、さまざまな検査所見と背中の強い痛みが何か月も続いているような状態ということを加味して、初期集中期の段階では週3回のケアから開始した。

1週目(初回のアジャストメント)には、施術直後から呼吸のしやすさを実感され、「背中の重だるさが少し軽くなった気がする」と表情が和らいだ。夜間の寝返り時の痛みは残存していたが、初めて翌朝に目覚めた際「昨日よりは楽に起きられた」と報告があった。

2週目(4回目のアジャストメント)には、立ち上がるときや歩行時の痛みが徐々に軽減してきた。特に日常動作に伴う鋭い痛みが和らぎ、家事を少しずつ再開できるようになった。依然として背中の違和感は残っていたが、「痛みで気持ちまで暗くなるような感覚は減ってきた」と前向きな変化を感じていた。

4週目(10回目のアジャストメント)には、夜間の痛みで目が覚めることが少なくなり、睡眠の質が改善してきた。以前は30分以上歩くと背中が張り詰めていたが、この頃には1時間近く散歩を続けても痛みが強まることはなかった。ご本人は「また友人とゴルフに行けるかもしれない」と希望を語るようになった。この段階でケアのペースを1週間に一度に広げることができた。

8週目(14回目のアジャストメント)には、背中の慢性的な痛みは大きく改善し、呼吸や姿勢保持が楽になった。体力も回復傾向にあり、日常生活で不安なく動けるようになったことで気持ちも明るくなり、「以前のように好きなことを楽しめる生活を取り戻したい」と意欲的な言葉が聞かれた。

14週目(20回目のアジャストメント)には、庭で軽くゴルフの素振りをしても背中の痛みが出ないまでに回復した。打ちっぱなしに行ってみたが、50球ほどなら軽くスウィングする程度なら背中の痛みは感じなかった。

現在は、背中の痛みはまったく出なくなり、ゴルフのラウンドに行けるほど回復した。無理をし過ぎたときには背中が突っ張るような感覚があるため、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の圧迫骨折は、転倒や事故といった明確な外傷によるものではなく、長年の日常生活での微細な負荷と加齢に伴う骨の脆弱化が重なって生じたと考えられる。特に基盤となる骨盤の不安定性が脊柱全体に影響し、その結果として背中に過剰な負担が集中したことが大きな要因であった。

脊柱は骨盤の上に積み木のように積み重なる構造をしているため、骨盤が傾いたり安定性を欠いたりすると、身体は姿勢を保つために背骨で補正を行う。この補正動作が繰り返されると、下部胸椎のような「力の切り返し点」にストレスが集まりやすくなる。今回の症例で下部胸椎に圧迫骨折が起きていたことは、この力学的背景を裏付けるものだと考えられる。

さらに女性の場合、閉経後の女性ホルモン低下により骨密度が急速に失われ、骨粗しょう症のリスクが高まることが知られている。本症例でも、骨盤部の補正による持続的な負荷に加え、加齢による骨量減少が拍車をかけて圧迫骨折を誘発した可能性が高い。

自律神経の観点からも見逃せない要素がある。初診時の検査では骨盤部や上部頸椎といった副交感神経と深い関連を持つ部位に異常が確認された。副交感神経機能が低下すると副甲状腺の調整が乱れ、体内のカルシウム代謝に影響を及ぼす。カルシウムバランスが不安定になると骨密度はさらに低下しやすくなり、骨折のリスクを高める背景要因となり得る。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれると、骨盤部の安定性が改善され、背骨全体にかかる補正ストレスも軽減される。それと同時に、自律神経のバランスが整ったことで副甲状腺や骨代謝機能の正常化も促され、回復過程がスムーズに進んだと考えられる。

この症例は、圧迫骨折を単なる「加齢による骨の弱さ」と片付けるのではなく、骨盤の安定性や自律神経系の働きといった全身の機能的要因を包括的に捉えることの重要性を示している。
薬や安静でも改善しなかった圧迫骨折による背中の痛み
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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