薬に頼り続けても改善しなかった慢性的な下痢

薬に頼り続けても改善しなかった慢性的な下痢

不安に支配された生活から解放され、安心して外出できる日常を取り戻せました!

30代男性
来院に至った経緯
子供の頃からお腹が緩く、常に軟便が続いていた。学校の頃は「お腹が弱い子」と周囲に言われることも多かったが、腹痛を伴うわけではなかったため「体質だから仕方ない」と自分に言い聞かせてやり過ごしていた。

しかし社会人になってからは状況が一変した。仕事中や移動中に突然強い便意に襲われ、慌ててトイレに駆け込むことが当たり前になっていった。特に30歳を迎える頃からは、ほとんど固形の便が出なくなり、常に下痢に悩まされる状態が続いた。

お腹に痛みはないが、突然の便意のせいで会議や商談に集中できず、「またトイレに行きたくなったらどうしよう」という不安が頭から離れなかった。実際に商談の途中で席を立たざるを得なかったこともあり、同僚や上司の視線を気にして気まずい思いをしたことが何度もあった。

市販の下痢止めを服用すると一時的には落ち着いたものの、薬を飲まなければすぐに症状がぶり返してしまう。そのため「薬が手放せない毎日」が習慣化していた。しかし薬で抑えているだけでは根本的に良くならず、むしろ「薬に頼らなければ仕事も生活も回らないのではないか」という不安が募っていった。

日常生活そのものにも制限が広がっていた。外出先では必ずトイレの位置を確認し、電車に乗る際も「途中で降りなければならないのでは」と常に不安を抱えていた。気がつけば友人との旅行や遠出も避けるようになり、趣味だったアウトドアやスポーツ観戦も楽しめなくなっていた。

こうした生活の萎縮感が積み重なり、「このままでは人生そのものが下痢に支配されてしまう」という恐怖すら感じるようになっていった。さらに追い打ちをかけたのは、職場での大切なプレゼンテーションの日だった。

緊張と便意が重なり、発表前に何度もトイレに駆け込み、プレゼン本番では頭が真っ白になり十分に話せなかった。そのとき「このままでは社会人としての信用まで失ってしまうのではないか」と強い危機感を覚えた。

病院で検査を受けても「特に異常はない」と言われ、整腸剤や下痢止めを出されるだけで根本的には改善しなかった経験が決定打となった。「一生この下痢と付き合うしかないのか」と絶望していたとき、たまたま同じように慢性的な下痢で悩んでいた知人が「前田カイロプラクティック藤沢院に通ってから外出が楽になった」と話してくれた。

その知人は薬でも改善しなかったのに、施術を受けてから症状が落ち着き、旅行や趣味を楽しめるようになっていた。実際の変化を知人から聞いたことで、「自分も試してみたい」という気持ちが強く芽生え、薬に頼るだけでは人生が破綻しかねないという切羽詰まった思いも後押しとなり、「ここなら根本から変えられるかもしれない」と決意して当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    右上後腸骨棘上端内縁の強い浮腫感

  • 03

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右上後腸骨棘上端内縁と第一頸椎右横突起に強い浮腫が確認され、腰部起立筋と頸部胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中D3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、ちょうど仕事でプロジェクトリーダーを任されたばかりで平日は時間が取れないとのことだったので、無理のない範囲で週末の週1回からケアを開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、下痢の頻度がわずかに減少し、これまで毎日のように数回トイレに駆け込んでいたのが、午前中に1回程度で済む日が出てきた。まだ安心できる状態ではなかったが、本人にとっては「初めての変化」であり、小さな希望を感じられる段階となった。

5週目(5回目のアジャストメント)には、仕事中に急な便意で席を立つことが減り、会議や打ち合わせに落ち着いて参加できるようになった。これまでは「常にトイレの場所を意識していた」が、この頃にはその不安が少しずつ薄れ、精神的にも余裕が生まれていた。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

11週目(8回目のアジャストメント)には、便の状態が徐々に安定してきて、「下痢が当たり前」という生活習慣から「普通の排便がある日もある」という変化を本人が実感できるようになった。特に週末に趣味のスポーツ観戦へ出かけても途中でトイレに駆け込まずに済み、久しぶりに「心から楽しめた」と語っていた。

17週目(11回目のアジャストメント)には、下痢が慢性的に続いていた頃に比べて体力や集中力が明らかに向上し、仕事のパフォーマンスも安定してきた。外出時にトイレの位置を確認する習慣もなくなり、家族との旅行や遠出にも自信を持って出かけられるようになった。

現在は、下痢症状は落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の慢性的な下痢は、腹痛を伴うものではなく、何度も繰り返し便意に襲われる無痛性の下痢であった。このような症状は消化管そのものの病変ではなく、自律神経の働きの乱れが背景にある場合が多い。

特に交感神経が過剰に働き、副交感神経が抑え込まれていると、腸の蠕動運動が不均衡となり、排泄機能が制御できなくなることがある。本症例ではまさにその状態が慢性的に続いていたと考えられる。

検査においては骨盤部と上部頸椎に明らかな反応が認められたが、いずれも副交感神経と関わりの深い部位である。これらの部位に機能低下が存在していたことで、副交感神経の働きが十分に発揮されず、相対的に交感神経が優位になっていた可能性が高い。

その結果、腸の調整機能は失われ、水分の再吸収が不十分なまま便が排出されるため、固形化しない慢性的な下痢が習慣化していたのだろう。

上部頸椎は迷走神経とも深く関わっている。迷走神経は腸の運動や消化のリズムに直接作用するため、頸椎の機能異常が長期的に続けば、腸の働きに大きな影響を与える。薬では一時的に抑えられてもすぐに再発してしまったのは、こうした神経の機能不全という根本的な問題が放置されていたからである。

慢性的な下痢の背景には心理的なストレスも大きく関与する。人は強い緊張や不安を抱くと交感神経が優位になり、腸の働きが過剰に刺激されて便意が頻発することがある。

本症例でも会議やプレゼンテーションといった強い緊張を伴う場面で下痢が悪化していたことから、ストレスと神経機能の乱れが密接に絡み合っていたと推測される。つまり「緊張する→交感神経が過剰に働く→腸が過敏に反応する→下痢が起こる」という悪循環が形成されていたのである。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、骨盤部と上部頸椎の働きが改善されると、自律神経のバランスが整った結果、腸の運動が次第に回復していったと考えられる。

下痢の頻度が減少するだけでなく、「またトイレに行きたくなるのでは」という心理的な不安も軽減され、ストレスと身体症状が互いに悪循環を生み出す構造が断ち切られていったことは臨床的に重要な意味を持つ。

今回の症例は、長年「体質」として片付けられてきた慢性的な下痢が、神経とストレスの相互作用を正しく評価し改善に導くことで、生活の質そのものを大きく変えることができた臨床的に重要な症例であった。
薬に頼り続けても改善しなかった慢性的な下痢
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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