睡眠薬を飲んでも改善しなかった不眠症

睡眠薬を飲んでも改善しなかった不眠症

薬に頼らず、ぐっすり朝まで眠れるようになった!

40代男性
来院に至った経緯
子供の頃から心配性で起こってもいないことが心配になり、よく両親や学校の先生から怒られていた。小学生から高校3年生まで野球をやっていたが、心とは裏腹に身体は強く、一度も怪我という怪我はしたことがなかった。

社会人になって配送会社で勤務していたが、長時間トラックを運転している影響か、重たい物を積み下ろししている影響か、腰痛が出てきた。ぎっくり腰も2回ほど経験しており、運動不足かもと思って週4~5回ジムで体を動かすようになった。

筋トレをしすぎると逆に腰痛が酷くなったので、ウォーキングやストレッチを中心に汗をかいていた。そのおかげで慢性的にずっと痛むということはなくなったが、長距離移動したあとにトラックから降りると腰が伸びずに固まっている感じがしていた。

今から3年前に、長年勤めていた配送会社が倒産してしまった。幸いなことに別の配送会社がすぐに雇ってくれたので職を失うことはなかったが、ちょうどその頃から不眠症になってしまった。

寝入りは問題なく、仕事で疲れて帰ってくると横になったらすぐに眠れるが、3時間くらいで目を覚ましてしまうようになった。夜中に目を覚ますと、今度はなかなか寝付けずに、そのまま朝になって出社するということを繰り返していた。

睡眠時間は次第に短くなり、気づけば1時間くらいで目を覚ましてしまうようになった。病院に行ったが、「寝入りは問題ないが、寝てもすぐに目を覚ましてしまう」と伝えると、念のため睡眠薬を処方しておきますと言われた。

薬を1週間ほど試してみたが、寝入りは問題ないが結局1時間くらいで目を覚ましてしまうことは変わらなかった。睡眠薬を飲むと翌朝になっても薬の成分が残っているのか、運転中にボーっとしてしまうことがあり、どうせ飲んでも効かないなら事故を起こすリスクが上がるだけだと判断して薬を飲まなくなった。

思い当たることといえば、睡眠の質が悪くなる1か月くらい前から、運転中に目がすごく疲れるなと感じていた。夕方位になると視界が悪くなる気がして、体調が悪いとそこから頭痛がしてくるようなこともあった。

頭痛は目の奥が引っ張られるような感覚で、目の裏側がズキズキするような頭痛が出ていたが、帰宅してお風呂に入ると目の疲れも頭痛も気にならなくなっていたので、特に病院には行っていなかった。

トラックを運転する仕事だけに、睡眠不足は大事故にも繋がってしまうと思い、病院以外にもいくつか治療院を回ってみた。一番、体に合ったのは針治療で、首に針をやってもらうと2時間くらいは眠れるようになったが、1~2日経つとまた1時間くらいで目を覚ましてしまうようになった。

首に針をしてもらうと少し睡眠が取れるようになるということは、きっと首に原因があるのだろうなと思った。自分でいろいろと調べて当院のホームページを見つけ、『根本原因にアプローチ』という言葉が気になり、ここなら良くなるかもしれないと思い、当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    正中仙骨稜に顕著な浮腫

  • 02

    腰部起立筋の過緊張

  • 03

    頚部右胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、上部頸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎右横突起と正中仙骨稜に強い浮腫が確認され、頚部右胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きが確認された。首の椎間板の段階は慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアが必要な状態であったが、仕事のスケジュールを考慮して週1回のケアから開始した。

4週目(4回目のアジャストメント)には、長距離運転後にトラックから降りる際の腰痛が、ほとんど気にならなくなった。

8週目(7回目のアジャストメント)には、睡眠の質に若干の改善がみられ、日によっては3時間ほど連続で眠れる日も増え始めた。しかし、依然として1時間程度で目を覚ますこともあり、不安定な状態が続いていた。ただし、眼精疲労に関しては大きな変化がみられ、運転中の目の疲労感や、目の奥にズキズキと響くような頭痛はほとんど気にならなくなっていた。

16週目(10回目のアジャストメント)には、この頃から睡眠の質が大きく向上し、4~5時間連続で眠れるようになった。特筆すべきは、カイロプラクティックケアを受け始めてから現在まで、一切睡眠薬を服用していないという点である。

22週目(14回目のアジャストメント)には、睡眠の質は完全に改善し、睡眠薬を使用せずとも朝まで一度も目を覚ますことなく眠れるようになった。また、以前よりも寝起きがスッキリとし、日中の倦怠感も軽減されるようになった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の不眠症は、自律神経のバランスの乱れが根本的な原因であったと考えられる。

検査の結果、上部頸椎と骨盤部に顕著な反応がみられた。これらの部位はどちらも副交感神経が支配する領域であり、ここにサブラクセーション(根本原因)が生じたことで、交感神経が過剰に働き、常に過緊張の状態に陥っていたと推察される。その結果、睡眠の質が著しく低下し、不眠症を引き起こしていたと考えられる。

緊張を伴う状況、例えば試験や重要な会議の前日などに、些細な物音で目を覚ましてしまう経験をしたことがある人は多いだろう。交感神経が過剰に働く状態は、まさに車のアクセルを踏みっぱなしにしているのと同じであり、リラックスすることができず、結果的に睡眠の持続が困難になる。今回のケースでも、そのような交感神経の過活動が慢性的に続いていたことが、不眠の主な要因となっていたと考えられる。

また、検査では腰痛も確認されたが、特に正中仙骨稜の浮腫が顕著であった。腰痛といっても原因は多岐にわたり、仙腸関節、腰仙関節、腰椎自体の問題など、さまざまな要素が関与する。当院、並びにシオカワグループでは、仙骨を5つの領域に分けて精密な検査を行い、それぞれの異常を詳細に評価する。

この症例では、特に第二仙結節に温度差と浮腫が確認されており、腰痛の発生源がここにあったことが分かった。アジャストメントの際も、コンタクトする部位をミリ単位で調整することで、精度の高い施術を行うことが可能となる。腰痛に対するアプローチにおいても、根本的な原因を特定するための精密な検査力が極めて重要であることが示された。

さらに、夕方以降に眼精疲労からの頭痛が発生していたが、目の神経は上部頸椎と密接に関係している。また、午後以降に現れる頭痛は、交感神経が過剰に働いている人に多くみられる緊張性頭痛の特徴とも一致する。これらの症状も、自律神経のバランスが乱れ、交感神経優位の状態が長く続いていたことを示唆している。

アジャストメントによってサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが正常化したことで、さまざまな症状が改善されたと考えられる。不眠症のような自律神経の機能障害も、腰痛のような筋骨格の問題も、適切な検査によって問題の部位を正確に特定することが不可欠である。本症例を通じて、神経の流れを正常化し、身体の情報を脳へ適切に伝達することの重要性が改めて確認された。
睡眠薬を飲んでも改善しなかった不眠症
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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