止まらないイライラとほてり、眠れない夜に苦しんだ更年期障害

止まらないイライラとほてり、眠れない夜に苦しんだ更年期障害

イライラ・ほてり・不眠から解放され、家族と笑顔で過ごせる日常を取り戻しました!

40代女性
来院に至った経緯
結婚して二十年。高校生の娘と中学生の息子がいる。夫は仕事が忙しく、家のことはほとんど自分が担ってきた。子どもたちの成長とともに手が離れるようになり、最近はようやく自分の時間も取れるようになった。

もともと几帳面で、人の世話を焼くのが好きな性格。家族の健康管理や食事にも気を配り、周囲からは「しっかり者のお母さん」と言われてきた。体も丈夫で、これまで大きな病気をしたこともなかったが、40代の半ばに差しかかった頃から、少しずつ心と体の調子が噛み合わなくなっていった。

ここ数年、感情の波が自分でも抑えられなくなっていた。ちょっとしたことでイライラしたり、突然涙がこぼれたり。家族に「最近怒りっぽくなったね」と言われたとき、自分でもどうしていいのか分からずに戸惑った。自分ではいつも通りのつもりなのに、心がついてこない。まるで他人の体を操っているような感覚だった。

体調も不安定で、急に顔が熱くなって汗が噴き出したかと思えば、次の瞬間には手足が氷のように冷たくなる。夜中に何度も目が覚めてしまい、眠っても熟睡できず、朝は体が鉛のように重かった。鏡を見ると、顔色はどんよりとして肌の張りも失われ、まるで別人のように感じられた。

仕事は長年続けてきた事務職。もともと几帳面な性格で、人から頼られることも多かったが、最近は小さなミスが増え、集中力も続かない。頭がぼんやりして考えがまとまらず、「私どうしちゃったんだろう」と不安が募っていった。昼休みには机に突っ伏しても眠れず、帰宅するとぐったりとソファに沈み込む日々が続いた。

婦人科で相談すると「更年期によくあることですよ」と言われ、ホルモン補充療法を提案された。しかし薬を飲むことに抵抗があり、しばらく漢方を試したものの、効果ははっきりせず、むしろ気持ちの浮き沈みが激しくなったように感じた。睡眠導入剤を勧められたこともあったが、「薬でごまかしたくない」という思いが勝った。

周囲に相談しても、「年齢的に仕方ない」「みんな通る道」と言われるばかりで、理解してもらえない孤独感に苛まれた。何よりもつらかったのは、「自分が自分でなくなっていく」ような感覚だった。

ある日、娘から「お母さん、最近ずっとつらそうだよ。大丈夫?」と言われ、涙が止まらなかった。その言葉に、今のままでは家族にも笑顔を見せられないという現実を突きつけられたようだった。

どうにかしてこの状態から抜け出したい、薬に頼らずに心も体も整えたいと思ってインターネットで調べていたとき、当院ホームページに「自律神経の乱れと更年期障害」について書かれている記事に出会った。

さらに詳しくホームページを見てみると、自分と同じように更年期障害に苦しんでいた人が改善されたという記事を見つけ、「私が探していたところはここだ!」と思い。当院に来院された。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    第一頸椎の明らかな可動域制限

  • 03

    脊柱起立筋全体の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右仙腸関節と第一頸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右仙骨翼と第一頸椎右横突起に強い浮腫が確認され、脊柱起立筋は全体的に緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4階の慢性的なD4ルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階にも階中4階の慢性的なD4ルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2のケアを提示したが、仕事と家事を両立したいという思いから、無理のない範囲で週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、夜中に何度も目が覚めていた状態が少しずつ改善し、まとまった睡眠が取れる日が増えてきた。本人は「朝の体の重だるさが少し軽くなってきた」と話し、日中の倦怠感も和らいだ様子だった。

6週目(6回目のアジャストメント)には、顔のほてりや発汗の頻度が減少し、仕事中も以前ほど急激な体温変化を感じなくなった。気持ちの波も少しずつ穏やかになり、家族との会話にも笑顔が戻ってきた。本人は「イライラする回数が減って、家の中の空気も明るくなった」と実感を語った。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

14週目(10回目のアジャストメント)には、首や肩のこわばりも緩和され、頭の重さが軽減した。これまで疲れて帰宅するとすぐ横になっていたが、夕食の支度や家事を終えた後も、家族と一緒に過ごす余裕が出てきた。睡眠の質がさらに向上し、朝の目覚めもスッキリとしてきた。

26週目(16回目のアジャストメント)には、ホットフラッシュや動悸などの更年期症状はほとんど気にならなくなり、心身のバランスが安定しているのを実感していた。本人は「以前のように前向きに考えられるようになった」「家族からも“元気になったね”と言われるようになった」と語り、表情も明るさを取り戻していた。

現在は、更年期障害に伴う諸症状はほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
本症例の更年期障害は、女性ホルモンの変動そのものよりも、ホルモン分泌を調整する自律神経のアンバランスが主要因であったと考えられる。

更年期において卵巣機能が低下し、エストロゲンやプロゲステロンの分泌が減少すると、脳の視床下部はその変化を感知し、ホルモン分泌を促す指令を出し続ける。しかし卵巣はすでに十分に応答できない状態にあるため、視床下部は過剰に刺激され続け、結果として神経系が興奮状態に陥る。これが、いわゆるホットフラッシュ、倦怠感、感情の起伏など更年期障害を引き起こす根本的メカニズムである。

この神経的制御の中心にあるのが交感神経と副交感神経のバランスである。交感神経が優位な状態では、体は常に「緊張」「興奮」「闘争・逃走モード」に傾き、ホルモン分泌や代謝の調整を担う視床下部―下垂体―卵巣(HPO軸)の働きも乱される。一方、副交感神経が十分に働くと、脳と内臓の情報伝達は安定し、ホルモンのリズムも穏やかに保たれる。

今回の検査で確認された上部頸椎と骨盤でのさまざまな検査所見は、自律神経バランスの乱れを裏付ける重要な所見であった。上部頸椎は脳幹部と連続しており、迷走神経を介して視床下部や心臓、消化器などの副交感神経機能と密接に関係している。また、仙骨は骨盤内臓神経を通じて卵巣・子宮と深く関わっており、女性の生理的リズムを支える領域である。

これらの部位にサブラクセーション(根本原因)が存在すると、脳と臓器との情報伝達が不安定になり、ホルモンの分泌リズムも乱れやすくなる。アジャストメントにより神経伝達の流れが回復すると、副交感神経の働きが整い、脳と卵巣間の通信がスムーズになる。その結果、体温調節、睡眠リズム、感情の安定など、全身の機能が本来の調和を取り戻していったと考えられる。

本症例は、更年期障害を単なるホルモンの減少ではなく、神経系と内分泌系の連携異常として捉える重要性を示したものである。上部頸椎と仙骨を中心とした神経調整によって自律神経が安定し、体内の恒常性が再び働き始めたことが、症状改善の大きな鍵となった。

ホルモンと神経の密接な関係を理解し、神経の働きを正常化することで、人間の自然治癒力がいかに精妙に再起動するかを改めて示した臨床的に価値の高い症例であった。
止まらないイライラとほてり、眠れない夜に苦しんだ更年期障害
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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