不眠症の原因は自律神経の乱れ?カイロプラクティックによる根本的アプローチ

不眠症の原因は自律神経の乱れ?カイロプラクティックによる根本的アプローチ

薬を飲んでも改善しなかった不眠症が、カイロプラクティック施術で回復した症例

40代男性
来院に至った経緯
数年前から不眠症に悩まされ、年々症状が悪化していた。布団に入ってもなかなか寝つけず、ようやく眠れたと思っても途中で目が覚め、朝まで何度も中途覚醒を繰り返すようになった。

「今夜も眠れなかったらどうしよう」という不安が積み重なり、寝る前に緊張してしまう悪循環が発生。睡眠が浅いため、朝起きても疲労感が抜けず、日中も倦怠感が続いていた。仕事では集中力が続かず、ミスが増えたり、些細なことでイライラすることが増えたりしていた。

また、不眠に伴い、動悸やめまい、立ちくらみが頻発するようになった。特に疲労が蓄積した日は、突然心臓が激しく鼓動し、息苦しさを感じることがあった。さらに、午後から夕方にかけてこめかみを締め付けるような頭痛が増え、顎の食いしばりも悪化。朝起きたときに顎が強張り、違和感が続くことが多くなった。

慢性的な副鼻腔炎にも悩まされ、鼻が詰まることで呼吸がしづらく、睡眠時に口呼吸になることが増えていた。喉の乾燥が原因で夜中に目覚めることもあり、睡眠の質を大きく低下させていた。

さらに、長年続く腰痛も、不眠の悪化とともに痛みが強くなった。座っていると腰が重だるくなり、寝返りを打つたびに痛みが走るため、深い眠りに入ることができなかった。

不眠症が悪化するにつれて、腸の調子も乱れ、便秘と下痢を繰り返すようになった。排便が数日間ないこともあれば、急に下痢になることもあり、食事をすること自体がストレスに感じるようになった。

整体や鍼灸院に通ったものの、一時的に楽になるだけで根本的な改善には至らず、「このまま不眠が続いたらどうなるのか」と将来への不安が募っていた。心療内科では抗不安薬を処方されたが、薬の服用を続けることへの抵抗があり、根本的な解決を求めていた。

そんなとき、友人がカイロプラクティック施術を受けて体調が改善したという話を聞き、自分も根本から体を整えてみようと考えた。カイロプラクティックは初めてだったが、信頼している友人からの紹介だったため、前田カイロプラクティック藤沢院への来院を決意した。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫

  • 02

    頸部胸鎖乳突筋(特に右側)の過緊張

  • 03

    左上後腸骨棘上端内縁にくぼんだ浮腫

経過と内容
初診時の状態では、左の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎右横突起と左上後腸骨棘上端内縁に強い浮腫が確認され、頚部右胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きが確認された。首の椎間板の段階は慢性的なD4レベルが確認された。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事の関係で週1回のケアから開始した。

【2週目】(2回目のアジャストメント)
施術開始後、夜中に目が覚める回数が減少。寝つきの悪さはまだ続いていたが、「昨日は少し長く眠れた気がする」と本人も小さな変化を実感。

【10週目】(8回目のアジャストメント)
寝つくまでの時間が短縮し、夜中に目が覚めてもすぐに再入眠できるようになった。不安感や動悸も減少し、午後からの頭痛の頻度も低下。

【18週目】(12回目のアジャストメント)
睡眠の質が向上し、朝の目覚めがスッキリする日が増えた。日中の倦怠感が軽減し、午前中の集中力が向上。副鼻腔炎による鼻詰まりが軽減し、口呼吸の頻度が減少。腰痛も軽減し、寝返りを打つときの痛みが少なくなった。

【24週目】(15回目のアジャストメント)
不眠症が大幅に改善し、夜中に目覚める回数が激減。便秘と下痢の頻度も低下し、腸の調子が安定してきた。不安感やイライラを感じることが減り、ストレスを受けにくくなった。

【35週目】(19回目のアジャストメント)
睡眠のリズムが安定し、毎晩しっかり眠れるようになった。動悸や立ちくらみの症状もほぼ消失し、仕事中の集中力が大幅に向上。顎の食いしばりが軽減され、朝の顎の疲労感もほとんどなくなった。

現在は、ほとんどの症状が改善し、睡眠の質も安定している。今後も健康維持のために定期的なカイロプラクティックケアを継続している。

考察
本症例では、不眠症の根本的な原因として、自律神経の乱れが深く関与していたと考えられる。不眠症は単なる睡眠の問題ではなく、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、全身の機能に影響を及ぼす疾患である。特に、寝つきの悪さや中途覚醒の頻発は、交感神経の過剰な興奮によってリラックスが阻害され、副交感神経が十分に働かないことによって引き起こされる。

検査の結果、上部頸椎および骨盤に明らかなサブラクセーションが確認された。これらの部位は、副交感神経の中枢である脳幹(延髄)や仙骨神経叢と深く関係しており、機能障害が生じると交感神経の過活動を引き起こしやすい。特に、第一頸椎(C1)のサブラクセーションは、脳幹への血流や神経伝達に影響を与え、自律神経の調節機能を低下させる要因となる。

本症例では、動悸、めまい、立ちくらみ、頭痛、消化器の不調、食いしばり、腰痛など、多岐にわたる症状が同時に発生していた。これは、単なる局所的な問題ではなく、自律神経系全体が乱れていたことを示唆する。交感神経の過剰な働きが持続すると、血管の収縮が強まり、脳や内臓への血流が低下することで、さまざまな症状を引き起こす。また、副交感神経の働きが抑制されることで、胃腸の蠕動運動が乱れ、便秘と下痢を繰り返すような腸機能障害が現れる。

さらに、本症例では、副鼻腔炎が慢性的に続いていた点も重要である。副鼻腔は迷走神経(副交感神経の主要な経路)の支配を受けるため、副鼻腔の慢性炎症が持続すると、副交感神経の機能低下が進み、睡眠の質にも悪影響を及ぼす可能性がある。また、夜間の鼻詰まりによる口呼吸の増加は、交感神経の緊張を助長し、睡眠の質を低下させる要因となる。

顎の食いしばりもまた、自律神経の過活動と密接に関連する。交感神経が優位に働き続けることで、筋緊張が慢性化し、無意識のうちに咬筋や側頭筋が過剰に収縮する。特に、就寝中はリラックスすべき時間であるにもかかわらず、交感神経の影響で筋肉が過剰に働いてしまうため、朝起きたときの顎の違和感や疲労感が強く現れる。これがさらに睡眠の質を低下させ、悪循環を生み出していたと考えられる。

腰痛に関しても、自律神経の影響を受ける側面が大きい。長年の骨盤の歪みが腰部の神経伝達を妨げ、慢性的な筋緊張を引き起こしていたと考えられる。特に、寝返り時の痛みが強かったことから、姿勢の変化に伴う神経の圧迫が関与していた可能性が高い。腰椎の可動域が制限されることで、脊髄を通じた神経信号の伝達が阻害され、睡眠時に深いリラックス状態に入ることが難しくなっていたのではないかと推察される。

一般的な不眠症の治療では、睡眠薬や抗不安薬が処方されることが多いが、これらは一時的に症状を抑える対症療法に過ぎず、根本的な改善にはつながらないケースが多い。本症例では、薬物療法ではなく、カイロプラクティックによる神経機能の回復を通じて、睡眠の質だけでなく、全身の不調を改善することができた点が非常に重要である。

カイロプラクティックの施術により、第一頸椎や骨盤のアライメントが正常化されたことで、自律神経のバランスが回復し、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズに行われるようになったと考えられる。結果として、睡眠の質が向上し、動悸やめまい、頭痛、消化器症状などの不調も軽減された。このように、不眠症の根本的な原因を特定し、神経機能の正常化を図ることで、睡眠の質を根本から改善できることが示された症例である。

本症例から得られる重要なポイントは、不眠症が単なる睡眠の問題ではなく、全身の神経系の機能低下によって引き起こされる多面的な問題であるということである。カイロプラクティックによる神経機能の調整は、不眠症だけでなく、自律神経のバランスを整えることで全身の健康を向上させる可能性を持っている。本症例は、薬に頼らずに不眠症を克服した一例として、カイロプラクティックの有効性を示す貴重なケースとなった。
不眠症の原因は自律神経の乱れ?カイロプラクティックによる根本的アプローチ
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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