テストステロン低下による止まらないイライラに苦しむ男性更年期障害

テストステロン低下による止まらないイライラに苦しむ男性更年期障害

感情の波が落ち着き、家族と穏やかに過ごせる日常を取り戻しました!

50代男性
来院に至った経緯
大学を卒業してから同じ会社に勤め、営業部門で長年働いてきた。責任感が強く、部下の前では常に冷静であろうと努めてきたが、気づけば周囲から頼られることが当たり前になり、自分の感情を抑えることが習慣のようになっていた。

近年は、些細なことで強い苛立ちを感じるようになっていた。相手の言葉に過敏に反応してしまい、口調がきつくなることが増えた。冷静になった後には、理由のない虚しさや後悔が残り、自分を責めることが多くなっていた。

家庭でもその傾向は変わらず、妻や子どもに対して穏やかに接する余裕がなくなっていた。以前は休日に家族と出かける時間が何よりの楽しみであったが、最近はその意欲すら湧かず、テレビの前でぼんやりと過ごすことが増えていた。

夜は寝つきが悪く、朝は体が重く感じられた。鏡を見ると顔のむくみが目立ち、目の奥の輝きが失われているように見えた。職場では常に肩や首に力が入り、呼吸が浅く、仕事の合間にため息が増えていた。

加えて、慢性的な腰の張りも感じており、椅子から立ち上がるたびに腰の奥が重たく痛むことがあった。以前は運動をすればすぐに解消していたが、最近はストレッチをしても違和感が取れず、体の芯がこわばったような感覚が続いていた。

ある日、会議中に突然胸の奥がざわつき、鼓動が早まり、手のひらに汗がにじんだ。頭の中が熱を持ったように重く、息を整えようとしても深く吸えない。誰にも気づかれないようやり過ごしたが、内心では「このままでは壊れてしまう」と感じていた。

その後、病院で検査を受けたが、異常は見つからなかった。「年齢的なものかもしれません」と言われただけで、具体的な改善策はなく、もどかしさが残った。体のどこが悪いわけでもないのに、何かがうまく噛み合っていない感覚が続いていた。

ある日、同世代の同僚と昼食を取っていたときに、「最近、気分の浮き沈みが激しくて困っている」と打ち明けると、「更年期になると自律神経が乱れるらしいから、その影響かもね」と言われた。

その言葉が妙に心に引っかかり、帰宅後に自律神経について調べていくうちに、当院のホームページにたどり着いた。そこに書かれていた“神経の働きを整えて体と心を回復させる”という内容を読んだが、正直なところ半信半疑だった。

イライラがカイロプラクティックで良くなるとは思えなかったが、慢性的な腰痛もあったため、「せめて体だけでも楽になれば」と思い、当院に来院された。


【神奈川県大和市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    右上後腸骨棘上端内縁にくぼんだ浮腫

  • 03

    第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節と第一頸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右上後腸骨棘上端内縁にくぼんだ浮腫と第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫が確認され、腰部起立筋と頸部胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階も6段階中4段階の慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、平日は残業続きで時間のめどが立たないとのことだったので、無理のない範囲で週末の週1回のケアから開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、体全体のこわばりがやや和らぎ、夜中に何度も目が覚めていたのが減った。翌朝の目覚めが少し軽くなり、職場での集中力が戻り始めた。感情の起伏はまだあるものの、怒りが長く続かなくなり、「少し冷静に考えられるようになった」と話していた。

6週目(6回目のアジャストメント)には、睡眠の質が安定してきた。日中の疲労感が減り、以前よりも表情に落ち着きが見られるようになった。仕事後の腰の重だるさが軽くなり、休日に体を動かす余裕も出てきた。家族との会話も少しずつ増え、気分の浮き沈みが穏やかになっていた。

10週目(10回目のアジャストメント)には、イライラの頻度が明らかに減り、仕事でも冷静に判断できるようになった。睡眠のリズムが整い、朝の目覚めがすっきりして1日の始まりを軽やかに迎えられるようになった。腰の違和感はほとんど消え、体力の回復も早くなった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

18週目(14回目のアジャストメント)には、感情の安定とともに意欲の回復がみられ、以前のように仕事や家庭に前向きな姿勢を取り戻した。家族と外出する機会も増え、表情や言葉に明るさが戻っていた。

現在は、イライラする感情の起伏もかなり安定しているが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回のイライラは、自律神経の乱れによる極度のテストステロン分泌低下が背景にあったと考えられる。テストステロンは筋肉や骨格の維持だけでなく、集中力・忍耐力・決断力といった精神的安定にも関与する重要なホルモンである。

その分泌は主に自律神経の調整によって支えられており、慢性的な交感神経の過活動は下垂体‐副腎‐性腺系(HPA軸およびHPG軸)の働きを抑制することが知られている。

本症例では、長期間にわたる精神的・肉体的ストレスによって交感神経が過剰に優位となり、副交感神経の働きが低下していた。その結果、ホルモン分泌を司る内分泌系が抑制され、テストステロンの生成が滞ったと考えられる。

実際に、初診時は体の緊張が強く、常に神経が張り詰めたような状態で、睡眠の質も悪化していた。これらは典型的な交感神経優位型のサインであり、慢性的なストレス反応によって心身が休息できない状態を示している。

さらに、人間には常に体のバランスを保とうとする補正作用が働いており、骨盤部のわずかな傾きでも全身に影響が及ぶ。骨盤部の乱れによって腰椎に側弯が加わると、その切り返しとして下部胸椎が反対側に傾きやすくなる。

カイロプラクティックでは、傾き自体を良し悪しで判断することはないが、この「切り返しの部分」には構造的・神経的な負荷が集中しやすい。この下部胸椎領域は副腎と密接な関係を持つため、骨盤部の補正作用による慢性的な緊張が副腎への持続的なストレスとなり、ホルモン分泌リズムの乱れを助長していた可能性も考えられる。

テストステロンが低下すると、感情の抑制が難しくなり、イライラや怒り、焦燥感が強まりやすくなる。さらに、睡眠の浅さや疲労の蓄積がその悪循環を助長し、脳の前頭葉での感情制御が機能低下を起こす。この状態では、本人の意志では感情をコントロールしにくくなるため、家庭や職場での些細な出来事にも過敏に反応してしまうことが多い。

カイロプラクティックケアによって上部頸椎を中心に神経系のバランスが整うと、副交感神経の働きが回復し、内分泌系の調和が取り戻される。これにより、テストステロンの分泌リズムが安定し、情動の安定・集中力・意欲が回復したと考えられる。加えて、睡眠の改善と腰部の緊張緩和が血流と酸素供給を促進し、全身の代謝が高まったこともホルモンバランスの回復に寄与したといえる。

今回の症例は、イライラや気分の不安定といった一見「心の問題」に見える症状が、神経系とホルモン分泌の密接な関係によって生じていることを示す好例である。神経系の恒常性を回復させることが、結果としてホルモンの働きを正常化し、心身の安定につながるという、カイロプラクティックの根本的な意義を改めて確認できた症例であった。
テストステロン低下による止まらないイライラに苦しむ男性更年期障害
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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