産後の骨盤ケア

出産後の体は“回復の途中”。骨盤の不調は神経の乱れのサインかもしれません

出産後の体は“回復の途中”。骨盤の不調は神経の乱れのサインかもしれません

出産は「命をかけた大仕事」です。妊娠から出産にかけて、骨盤は赤ちゃんを育て、出産に備えるために大きく開き、筋肉や靭帯、神経、ホルモンのバランスが大きく変化します。

出産直後は、ホルモンの影響で関節や靭帯が緩みやすくなり、骨盤が不安定な状態になります。さらに、育児や授乳、夜間の寝不足などによって体を休める時間が取れず、自分の体を後回しにしてしまう方も少なくありません。

日本では、出産経験のある女性の約4〜5割が「骨盤の不安定感」や「骨盤の開き・ゆがみ」を自覚しており、腰痛や股関節痛、恥骨痛、尾骨の違和感など、骨盤まわりの不調を訴える人が増えています。厚生労働省の調査でも、産後の腰痛を含む身体の不調を感じる女性は全体の約半数に上ると報告されています。

こうした不調は単なる「骨盤のズレ」ではなく、出産を通して乱れた神経とホルモンのバランスが深く関係しています。骨盤を支える筋肉や靭帯、血流、そしてホルモン分泌の調整は、すべて自律神経の働きによってコントロールされています。そのため、骨盤だけを整えるだけではなく、神経の働きを含めた“体全体の回復”が重要になります。

「骨盤がグラグラする」「腰や股関節が痛い」「恥骨や尾骨に違和感がある」などの症状は、体が「まだ回復していません」というサインです。放っておくと、慢性的な腰痛、肩こり、尿漏れ、下腹部のたるみ、冷えやむくみなど、将来的な不調へとつながることもあります。

このコラムでは、産後の骨盤ケアに対する正しい知識と、一般的な治療法とカイロプラクティックでの対策法の違いをお伝えしていきます。

こんな経験したこと
ありませんか?

  • 抱っこや授乳で腰がつらい
  • 恥骨や尾てい骨が痛む
  • 立ち上がるときに骨盤が不安定な感じがする
  • 尿漏れや下腹部のぽっこりが気になる
  • イライラしやすく、眠りが浅い

一般的な産後の骨盤ケアに対しての治療法common medical care
一般的な腰痛に対しての治療法
一般的な産後ケアでは、骨盤ベルトやガードルを使って外から締めたり、骨盤体操やストレッチを行うことが多くあります。これらは一時的に骨盤を安定させたり、姿勢をサポートする効果がありますが、根本的な骨盤の機能回復につながらない場合も少なくありません。

出産後の女性の体は、妊娠・出産によって大きな変化を受けています。特に骨盤や関節、筋肉、ホルモンバランスは大きく変動し、医学的にも「産褥期(さんじょくき)」と呼ばれる回復期間にあたります。この期間は、妊娠中に分泌されていたホルモン「リラキシン」によって靭帯が緩み、骨盤が柔軟に広がる一方で、出産後もしばらくその影響が残るため、骨盤が不安定な状態になりやすい時期です。

また、授乳や抱っこなどの動作で姿勢が崩れやすく、筋肉の疲労や運動不足、睡眠不足などが重なると、回復を妨げてしまうこともあります。一般的に、産後の体は出産直後から約6か月かけてゆっくりと回復していくといわれていますが、この期間に無理な運動や過度な締め付けを行うと、かえって骨盤の歪みや痛みを悪化させてしまうこともあります。

さらに近年では「産後の骨盤矯正」という言葉が広まり、多くの整体院やエステサロンなどで取り入れられています。しかし、腰を強く捻ったり、無理に音を鳴らすような矯正法は注意が必要です。腰椎の椎間関節は捻る構造にはなっていないため、過度な回旋(ねじり)は靭帯や関節を傷め、かえって骨盤部や腰部の不安定感を強めてしまう危険があります。産後の体は特にデリケートであるため、無理な矯正は一時的な爽快感を得られても、結果的に回復を遅らせる可能性があるのです。

このように、外側からのサポートや流行的な施術法では、体の本来の回復力を引き出すことはできません。骨盤の歪みや痛みの背景には、神経・筋肉・ホルモン・血流といった内的な要因が複雑に関係しています。

カイロプラクティックでは、これらの内的機能に着目し、体が本来持つバランスと安定性を取り戻せるよう「産後の骨盤」に対してアプローチしていきます。
カイロプラクティックでのアプローチchiropractic approach
カイロプラクティックでのアプローチ
巷では「産後は骨盤が開く」「骨盤矯正をしないと戻らない」といった情報があふれていますが、まず理解しておきたいのは、出産を終えた体が“自ら回復する力”を持っているということです。骨盤は本来、出産後に少しずつ元の安定した状態へ戻るように設計されています。大切なのは、その自然な回復力を妨げないことです。

骨盤は、子宮・膀胱・腸といった重要な臓器を支える体の中心であり、関節・靭帯・筋肉が連動して柔軟に働く構造になっています。妊娠中に分泌されるホルモン「リラキシン」は、出産をスムーズに行うために靭帯を一時的に緩める働きを持ちますが、出産後もしばらくはその影響が残り、骨盤は不安定な状態が続きます。さらに授乳や抱っこ、長時間の同じ姿勢、睡眠不足などが重なると、筋肉のアンバランスが強まり、骨盤を支える神経系にも負担がかかります。

つまり、産後の骨盤トラブルは「骨盤が開いたから」起こるのではなく、「神経と筋肉の協調機能が乱れている」ことが本質的な原因です。妊娠・出産を経て骨盤底筋群や腹筋群の活動性が低下すると、姿勢保持や体幹安定に必要な神経信号が正しく伝わらなくなります。脳が体の位置情報を正確に認識できなくなると、骨盤の関節や筋肉に過剰な負荷がかかり、腰痛、股関節痛、恥骨の痛み、尿漏れといった症状が出やすくなります。

カイロプラクティックでは、この「神経の働き」を回復させることを目的とします。骨盤の左右差や形状だけを見るのではなく、脳と骨盤をつなぐ神経伝達のバランスを整えることで、筋肉の緊張や関節の安定性を自然な形で取り戻していきます。神経の伝達が正常化すれば、骨盤周囲の筋肉は正しく働き、子宮や膀胱といった内臓の機能も回復しやすくなります。

また、腰椎・仙骨・骨盤底筋群は自律神経とも深く関係しており、この領域の神経が適切に働くことで、ホルモン分泌や血流の調整、睡眠や情緒の安定といった全身のリズムも整いやすくなります。したがって、産後ケアを「骨盤の形を戻す」ことと捉えるのではなく、「神経系を整えて全身の機能を再統合する」ことが重要です。

脳と体を結ぶ神経の流れに乱れがあると、脳は体の状態を正確に把握できず、正しい回復指令を出すことができません。どれだけストレッチや骨盤ベルトを試みても、神経系のバランスが乱れたままでは根本的な改善には至らないのです。

体の情報を正確に脳へ届けてあげること、それこそが本来の自然治癒を引き出す第一歩です。
カイロプラクティックケアによって神経の働きを整え、産後の骨盤が持つ本来の安定性としなやかさを取り戻しましょう!

産後の骨盤ケアの患者様の声voice

産後の骨盤矯正で悪化した腰痛が改善し、座っていても痛みが気にならなくなりました!

出産後しばらくしてから腰が重くなり、徐々に痛みが強くなっていきました。特に座っているのが辛く、仕事に復帰してからは30分続けて座れないほどの状態でした。赤ちゃんの抱っこや授乳も痛みでスムーズにできず、育児にも支障が出ていました。さらに、別の整体で「産後の骨盤矯正」を受けたところ、施術後に腰痛が悪化してしまい、「このまま治らないのではないか」という不安でいっぱいでした。

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