チック症・トゥレット症候群

チック症・トゥレット症候群の本当の原因は“癖”ではなく“自律神経のバランス”にあった!

チック症・トゥレット症候群の本当の原因は“癖”ではなく“自律神経のバランス”にあった!

まばたきを繰り返す、首をすばやく動かす、咳払いや鼻を鳴らすなど、無意識に同じ動作や音を繰り返してしまう。お子さんにそんな様子が見られて、「やめなさい」と言っても止まらないと、心配になる保護者の方も多いのではないでしょうか。

チック症とは、本人の意思に関係なく体が動いたり声が出たりする状態のことをいいます。主に小児期にみられ、数か月で自然に消える一過性のものから、長期間続く慢性チック、さらに運動チックと音声チックの両方が1年以上続くトゥレット症候群へと分類されます。

厚生労働省の報告によると、チック症はおよそ小学生の約5〜10%に一時的にみられるとされ、発症のピークは6〜8歳頃です。男女比では男児が女児の約3〜4倍多く、ストレスや環境の変化がきっかけで症状が強まる傾向があります。日本小児神経学会でも、チック症は「本人の努力ではコントロールできない神経系の一時的な不調」と位置づけられています。

多くの保護者は「性格の問題」「癖」と考えてしまいがちですが、実際には脳と神経の働き方が一時的にアンバランスになっている状態です。特に、注意力・感情のコントロールに関わる脳の領域(前頭葉や大脳基底核)と、自律神経の働きの関係が注目されています。

チック症の多くは一過性で自然に改善していきますが、繰り返したり長引いたりするケースもあります。発達や学習への影響、学校生活でのストレスなど、保護者にとっても見守り方が難しい症状です。

このコラムでは、チック症・トゥレット症候群の正しい理解と一般的な治療法、そしてカイロプラクティックがどのように神経の働きを整えてサポートしていくのかを、わかりやすくお伝えしていきます。

こんな経験したこと
ありませんか?

  • まばたきや顔のしかめなど、同じ動きを何度も繰り返す
  • 咳払いや鼻を鳴らすクセが続いていて、注意してもやめられない
  • 緊張したときやストレスがかかったときに症状が強くなる
  • 寝ているときは落ち着いているが、学校や人前で目立つようになる
  • 「性格の問題」と言われたが、なかなか改善せず心配している

一般的なチック症・トゥレット症候群に対しての治療法common medical care
一般的な腰痛に対しての治療法
チック症に対しては、まず「経過を見守ること」が基本とされています。多くの子どもは成長とともに症状が落ち着いていくため、焦らず見守ることが推奨されます。無理に止めさせようとすると、かえって意識が強まり症状が悪化してしまうこともあるため、家庭や学校では安心できる環境を整えることが大切です。

一方で、症状が長引いたり強くなったりする場合には、心理療法や薬物療法が検討されます。心理療法では、ストレスや不安を減らしてリラックスできる状態をつくり、チックの頻度を軽減することを目的とします。行動療法の一種である「習慣逆転療法」は、チックが起こる前の感覚を認識し、代わりの動作を練習することで、少しずつコントロール力を高めていく方法として知られています。

薬物療法では、脳内の神経伝達物質(主にドーパミンやセロトニン)の働きを整える薬が用いられます。抗ドーパミン薬や抗不安薬などを使うことで症状を和らげることができますが、副作用があるため、慎重な経過観察が必要です。

一般的な原因としては、ストレス、過労、睡眠不足、環境の変化、緊張状態などの外的要因が挙げられます。これらの要因が続くことで、脳や神経の働きに一時的なアンバランスが生じ、チックの症状としてあらわれると考えられています。

そのため一般的な対処法としては、十分な睡眠をとること、規則正しい生活リズムを保つこと、バランスの取れた食事、安心できる環境を整えることなどが勧められます。また、子どもを叱ったり注意したりするのではなく、温かく見守る姿勢が大切です。

これらの外的要因を見直すことがチック症の対策法とされていますが、どれも根本的な改善にはつながらず、その場限りの対応にとどまってしまうことがあります。

考えてみてください。もしストレスや生活環境などの外的要因だけがチック症の原因であるならば、同じような環境にいる子どもたちが全員発症してしまうはずです。しかし、実際にはそうではありません。発症する子どもとしない子どもがいるのは、体の内側、つまり神経の働き方に違いがあるからです。

ここで大切なのは、チック症の対策として外的要因ばかりに意識を向けるのではなく、体の内側に意識を向けることです。子どもは日々成長の過程にあり、神経系も発達の途中にあります。外から見える症状にとらわれず、体の内側で何が起きているのかを見極めていくことが、根本的な改善の第一歩となります。

チック症は「今、神経がうまくバランスを取れていません」という体からのサインでもあります。そのサインを薬や我慢で押さえ込むのではなく、なぜ神経が乱れているのかを理解し、内側の調和を取り戻すことが本当の意味での回復につながります。カイロプラクティックでは、この“体の内側の働き”を整えることに焦点を当ててサポートを行っていきます。
カイロプラクティックでのアプローチchiropractic approach
カイロプラクティックでのアプローチ
チック症やトゥレット症候群は、外見上は「体が勝手に動く」「声が出る」といった現象として現れますが、実際にはその背後に“神経伝達のアンバランス”が存在しています。私たちの体は、神経を通して脳と絶えず情報をやり取りしています。体の内部から送られる情報をもとに、脳は必要な指令を出して体の働きを調整しています。

しかし、この神経の流れにわずかな乱れが生じると、脳に正しい情報が伝わらなくなります。これは、まるでラジオのチューニングが少しずれて雑音が入っているような状態です。脳はその“ノイズ”を正しく処理できず、結果的に体の筋肉や神経が過剰に反応してしまうことがあります。チック症やトゥレット症候群は、まさにこのような神経伝達の乱れが長く続いている状態と考えられます。

脳内では、無数の神経細胞(ニューロン)がシナプスという接合部で情報をやり取りしています。この情報交換を担っているのが、アセチルコリン、ノルアドレナリン、セロトニン、そしてドーパミンといった神経伝達物質です。これらの物質は自律神経とも密接に関係しており、感情や筋肉の動き、呼吸や心拍などの生命活動を調整しています。

中でもドーパミンは「快感ホルモン」と呼ばれ、喜びや意欲といった感情の源であると同時に、運動機能の調整にも深く関わっています。通常であれば、ドーパミンは脳内で適切な量が分泌され、心と体のバランスを保っています。ところが、チック症やトゥレット症候群では、このドーパミンの活動が過剰になることで、脳が“動かなくてもよい動作”にまで指令を出してしまうのです。その結果、まばたきや咳払い、首を動かすといった不随意運動が繰り返されるようになります。

カイロプラクティックでは、このような神経伝達のアンバランスを「神経の働きの乱れ」として捉えます。神経系はホルモンの分泌にも密接に関わっており、自律神経の働きが整うことでホルモンのバランスも安定します。つまり、神経の流れが整うということは、脳内ホルモンの働きや感情のコントロール、筋肉の協調運動までもが調和していくということです。

検査では、体の姿勢、バランス、反射反応、呼吸のリズムなどを丁寧に観察し、神経が過敏になっている領域や働きの低下している部分を見極めていきます。カイロプラクティックケアでは、必要最小限の刺激で神経の伝達を整え、脳と体の間で正確な情報交換が行われるようサポートしていきます。

神経の働きが回復してくると、脳内の興奮と抑制のバランスが整い、体が過剰に反応する状態から落ち着きを取り戻します。これは単なる“症状の軽減”ではなく、体が本来持っている自己調整力が再び働き始めた証拠です。

チック症やトゥレット症候群の本当の改善とは、「動きを止めること」ではなく、「体が安心して静止できる状態をつくること」です。神経の調和を取り戻し、心と体が本来のリズムで働けるよう導いていきましょう!
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